SS3から始まった金曜日のレグ1のセクション2。この日もコースは晴天に恵まれた。気温は午後には20℃を超え、サービスパークやステージを観戦する観客にも絶好のラリー日和となった。ラ・カンブラのサービスパークには、時折強い風が吹き、舞い上がった細かい砂埃が各チームのサービステントに降り注いでいた。
PCWRCを戦うSPRTの新井敏弘は、2番手スタート。この日最初のSS3は、10.03kmのショートステージで、地元のマルコス・リガト(ランサー・エボリューション)に7秒差の3位。2位のダニエル・ソラ(ランサー・エボリューション)には僅か0.6秒差であった。スタート前にSPRT伊藤代表から、「初日の今日はとにかく確実に走ろう。抑えて走って確実に前に進むことが重要だ。最初のサービスまでに色々なことがあるだろう。それまではまず我慢だ」とアドバイスを受けていた。続く、10.91kmのSS4をリガトに次ぐ2番手で終え、SS5を迎えた。ここでも我慢の走りを続けたが、トップを行くリガトがここで早くも後退。新井はPCWRCラリーリーダーのポジションに着くこととなった。18.49kmのSS6では、新井がステージベストを記録し、トータルで2番手のソラに20秒のマージンを築いた。
サービスに戻った新井は、「ハードプッシュせず、無理を避けて走っています。路面はWRカーが走った後なので荒れ放題で、わだちから飛び出た石がコースのあちこちにゴロゴロしています。クルマには何も問題はない。他のクルマのことはあまり意識せず、自分の安定したペースを作りたいですね」とコメントした。ウォータースプラッシュで左側のフォグランプカバーが外れた以外はヒットした跡もなくボディの損傷は少ない。
SS7からSS9では、マニュファクチャラーエントリーのWRカーには多くのドラマが訪れたが、新井のインプレッサはトラブルフリーで走り続けた。新井は3つのSSでそれぞれステージトップタイムを記録。2位に続くソラとのタイム差を広げた。しかし、チームに「どきり」とした時間がなかったわけではない。新井がサービスアウトのタイムコントロールでオーバータイムのペナルティを取られた、という情報が流れたからだ。主催者に確認するとその事実はないというが、WRCの商業権を保有する団体がサービスで行っている速報モニターには「2分オーバー、ペナルティ20秒」と表示されていた。その後、ペナルティは誤情報であることが確認された。
「僕は全然無理していません。アクセルやブレーキのタイミングを少しだけずらしたりはしています。路面はとにかく荒れており、また表面がとても固いこともあり、クルマへの負担をなるべく軽く、ダメージを少なくするよう心がけています。次のSSは、再走ステージなのでさらに路面が荒れていると思うので、車高を10mm上げました。」 (新井、SS9後のサービスにて)
今回のアルゼンチンラリーは、選手権対象以外のグループNも数多く出場している。その中で、新型インプレッサをグループN仕様に仕立ててきたチームがある。コスタリカから来たチームだ。しかし、クルマの仕上がりが不完全なのか、この日の午後のステージでフィニッシュ直前にステアリングトラブルが発生し、フロントからクルマをロールオーバーさせたとのこと。真新しい新型インプレッサは、フロント部を大きく破損し、フロントスクリーンがバラバラに割れていた。再びリスタートすることはできるのであろうか。
残る3つのSSも危なげない走りでコンプリートした新井敏弘は、2位のニール・マクシア(ランサー・エボリューション)に2分強のリードを作ってこの日を終了。ラリーリーダーの座を守って第2レグを迎えることとなった。
新井敏弘のコメント
「1位で初日を通過できてうれしいです。4ヶ所もウォータースプラッシュがあるステージがあったのですが、そこでブレーキが急激に冷やされてしまい、ローターにクラックが入るというトラブルがありましたが、それ以外にクルマの問題はありませんでした。今日は新しいステージが4ヶ所あって慎重に走りましたが、明日は知っているステージばかりで、危険箇所もわかっています。再走ステージはちょっとプッシュしてみたいですね。」
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