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新井敏弘 ラリーレポート
PCWRC R.4 Rally of Turkey
 
 
プロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)第4戦
新井敏弘選手は序盤快走を見せるも、パワステトラブルで後退、5位で終えた
PCWRCは、リガト、ポンス、アルアティアーがトップ3を形成
 
Leg1 Report 3.June.2005    

FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)第5戦(世界ラリー選手権=WRC第7戦)ラリー・トルコは6月3日、レグ1が行われ、SUBARU勢にとっても、波乱の幕開けとなった。コース上に散乱する石に調子を乱されるコンペティターは少なくなく、その中にはレグ撤退を余儀なくされる者も多い。

本来、木曜日夜に予定されていたSS1(スーパーSS)は、照明の準備が間に合わずキャンセルとなったが、10日前には通達が行われていたため、この件に関する混乱は見られなかった。木曜日にはセレモニアルスタートのみが行われ、本格的な競技はこの日朝のSS2、28.97kmのファセリスのステージから始まった。

新井敏弘はかなり大胆なタイヤ選択を試み、ピレリXRをチョイス。これが功を奏して、最初のセクションとなる2本のステージを快走した。一方、PCWRCでのライバルの一人となるクサビエ・ポンスはこの日最初のステージ・SS2でパンクに見舞われるアクシデント。しかし1分40秒ほどでタイヤ交換を終えるという手際の良さで、タイムロスを最小限に食い止めた。

そして30分サービスを挟んで迎えた第2セクションのステージに、新井はタイヤの中央に深いグルービングを入れる、いわゆる「マキネンカット」を施した。しかし、ここでは、若干の追い上げを許してもリスクを起こさずプッシュを避けるべきと判断、ややタイムを落とし追い上げるドライバーとの差が縮まった。

「2位以下との間にはある程度のクッションができていたし、SS4-SS6は最初のセクションで既に使用されているため走行がよりハードになるので、それほどはハードに攻めなかった。マルコスやクサビエに対しては少し差が縮まったが、それでもギャップは維持しているのでそれほど心配はしていない」と日本のエース、新井はコメント。

その後も全般に渡りリードを保っていた新井だったが、SS7とSS8の間のリエゾンで、パワーステアリングのトラブルが発覚。このトラブルの影響はステージをスタートすると顕著に表れ始め、ツイスティなステージをパワーステアリングが全く効かない状態で走行しなくてはならなくなった。マシンを操る両腕の負担は激しく、これで新井はPCWRC首位から陥落。トップから約1分50秒遅れてのPCWRC5位でレグ1を終了した。

マルコス・リガトは、この日午前中でマッドタイヤを選択。新井ほどのスピードには至らなかったが、それでもタイムには満足。コース脇に石が散乱するステージで油断は大敵と、限界までのプッシュは避けたのだ。
「この3本(SS4-6)では、できるだけトラブルのない状態で終えたかったので、かなり慎重に行った」とアルゼンチンのリガト。PCWRC勢はおろかWRC勢でもレグ撤退が続出しているなか、安全策を選択した。ラフな路面でもムースタイヤの使用が認められているWRCに比べ、PCWRCのルールではムースタイヤの使用は認められていない。PCWRC勢でも序盤のステージで既に3人が、鋭利な石の犠牲となってパンクに見舞われている。

新井とヒギンズが、石だらけのステージで苦戦する中、リガトは手堅い走りで一日を終え、PCWRCの首位に浮上。戦略勝ちとなったリガトは、ラリー中盤のバトルに向けて初日に最高のポジションを獲得した。
「今日のタイヤチョイスはベストではなかったと思うが、基本的にはハッピーな結果。この段階で首位に立ったのだから、大満足だよ」

第1セクションで好調を見せたマーク・ヒギンズだったが、しかしSS3では前を走るヴィラグラが立てるダストにつかまり苦戦、ここで数秒のロスとなった。それでもSS5では、石にヒットしてトラブルを抱えるドライバーが続出する中、ヒギンズはこのトラップを巧みに避けてSS7終了時点でPCWRC2位を堅守。しかし、サービスに戻ってきた時のヒギンズのタイヤは、ステージ上の石でタイヤウォールがボロボロとなっており、まるで別のものとなっていった。SS8のフィニッシュ手前9km地点で、タイヤへの負担が最高潮に達し、サイドが裂けてのパンクとなったのだ。ヒギンズはパンクしたままステージを走り切ったが1分以上のロスとなり、PCWRC4位でこの日を終えることとなった。

この日、その強さを見せつけたのは、ナッサー・サレ・アルアティヤー。マシンはノートラブルで快走、この日を通して上位ポジションを守り続けた。レグ1終了時点で、目標としているポディウム圏内のPCWRC3位を確保。首位リガトとの差も約22秒と手中圏内だ。カタール出身のアルアティヤーにとって、好調に走り続けたレグ1終了時点での3位は満足の結果。特にSS7では、超ウェットでマッドという、経験の少ないコンディションに挑んでの、好リザルトと言える。
「泥コンディションでのドライビングには慣れてはいないので、SS7で速度を上げすぎるのは全ての努力を無にするようなリスクを負うことになると分かっていた。今のポジションには大満足。明日のステージも楽しみだよ」とアルアティヤーは笑顔を見せた。

PCWRC前戦のキプロスでPCWRC優勝を飾ったブライス・ティラバッシは、この日、マシンでのグリップを得ることができずに苦戦。SS6まで走り終えた時点でも、セッティングには満足できていなかった。
「なぜ上位陣に追いつけないのか、まったく理由が分からない。エンジンが思うように吹けてくれない。サービスではエンジンパワーをチェックして、パフォーマンスを向上させられるか、トライしてみる」

ガブリエル・ポッゾは、ブレーキパッドがしっかりと固定されておらず石を噛んでいるような感覚だったと伝えられ、スリッパリーなコンディションではまったくブレーキが効かないアクシデントに見舞われた。この結果、序盤の2ステージでは大苦戦を強いられることに。レグ1の中盤ではトラブルを回復したが、しかし魔のSS5で、残り9kmのところで左フロントがパンクに見舞われた。この結果タイムロスを喫したものの、続くSSでは好タイムをマーク。他のドライバーと比べても参戦頻度の高いポッゾは、その勢いを要所要所のステージタイムで披露。しかしSS7では5kmの地点で右リアタイヤをパンクし、再びタイムロス。この日はPCWRC9位で終了したが、明日以降、ポイント圏内への復帰を目指して猛チャージをかけてくることは間違いなく、レグ2でのポッゾの走りに期待が高まる。

セバスチャン・ベルトランは、この過酷なコンディションのトルコでミスを避けることにナーバスになり、ペースをつかむまでに苦戦。午後にはペースを上げようと狙っていたが思うような向上を見せることができず、やや残念な初日となった。SS5では、パンクで2分半をロス、さらに順位を下げることとなり、レグ1終了時点でPCWRC11位。しかしSS7では好調の兆しも見せ始め、ベルトランもポイント圏内を目指しての明日以降の追い上げが期待される。

体調不良でこの日をスタートしたファビオ・フリジエロは、日中サービスでサービスエリア駐在のドクターの診察を受けた。続く午後のステージの競技にも復帰したフリジエロだったが、体調はそのままタイムに反映され、いまひとつ。この日多くのドライバーを不幸に突き落とした悪夢のSS5では転倒まで喫し、レグ1から撤退。明日はスーパーラリーを適用しての再スタートを予定している。

オマーンのハメッド・アル・ワハイビは、この日の午後、トラブルフリーで順調な走行を見せた。「今日前半は、マシンのセッティングが合わなかった。これで苦戦してかなりタイムをロスした。午後は、上位陣を目指してとにかく追い上げている」とワハイビ。この日の序盤、キャリパーシールからの漏れと、右フロントサスペンション、ブレーキの交換に迫られた。この災難に見舞われながらも、SS6、アリカンダからの11.94kmステージ終了後にはPCWRC5位にまで浮上。しかし、後ろに控えていたクサビエ・ポンスとのバトルでは一歩及ばず、続くステージで順位を一つ下げ、この日をPCWRC6位で終えた。しかし、後続のプロトンのドライバー、カラムジット・シンには、25秒以上の差をつけている。

アキ・テイスコネンは、この日全般に渡って目立ったトラブルには見舞われなかったが、マシンのハンドリングには不満を残した。「ここまで2戦連続で完走できていないので、とにかく確実にフィニッシュしていきたい。できれば、ポイントも獲得してね。現状では、マシンはコースの通りに反応してくれず、場所によってはトラクションがまったく感じられないところもある」とフィンランド出身のテイスコネンはコメント。SS8では、続出したパンクの犠牲者の1人となったテイスコネンは、ステージでタイヤ交換を行うために停車。ここで3分以上をロスとなり、その結果PCWRC10位でこの日を終えることとなった。

明日のステージも、レグ1同様、ラリー・トルコらしい石が散乱するラフなコンディションのステージとなる。

順位
No.
ドライバー
タイム
1位 36 M.リガト
2:04:56.9
2位 32 X.ポンス
+19.6
3位 33 N.S.アルアティヤー
+22.7
4位 37 M.ヒギンズ
+55.8
5位 31 新井敏弘
+1:49.3
6位 49 H.アルワハイビ
+1:52.6
7位 35 K.シン
+2:18.3
8位 34 奴田原文雄
+2:56.0
 
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