FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)第6戦ラリー・GBは9月16日、レグ1が行われた。この日設定された3本のステージを2回ずつ走行するステージは、1回目と2回目のコンディションが大幅に変わり、タイヤ選択が全ての行方を決める鍵となった。前日に降った強い雨のため、午前中に行われた3本のステージは、所によっては非常にウェットな部分が残る、湿ったコンディション。しかし午後になるに従って路面はどんどんと乾き始め、本来の高速ステージの性格が顕著になってきたのだ。
この日のオープニングステージ、ブレックファの22kmステージでは、SUBARUインプレッサWRX
STI spec C(=spec C)をドライブするアキ・テイスコネンが、セカンドベストのナッサー・サレ・アルアティヤーに3秒差をつけてのPCWRCベストタイムをマーク。この2人に、マルコス・リガトが続き、ハメッド・アル・ワハイビは、テイスコネンに29.5秒遅れのタイムとなった。また、三菱からspec
Cにスイッチしての初参戦となったアンジェロ・メディギーニ、ナタリー・バラット、spec
Cでの初参戦となったファビオ・フリジエロ、三菱のリカルド・エラーニが続いた。
SS3では、ラリー・GB初参戦のアルアティヤーが、PCWRCベストをマーク。この日の最長ステージでもある27.80km・リオラのステージで、アルアティヤーはテイスコネンに2.5秒差をつけて、PCWRC首位に浮上した。ここではメディギーニがパンクにより、大幅なタイムロスを喫し、順位もPCWRC
4位から8位に後退。ナタリー・バラットは順位を2つ上げ、PCWRC 5位に浮上した。このステージの後、クルーは30分のサービスを挟み、午後の再走ステージグループに挑むこととなる。
ナッサー・サレ・アルアティヤーは「マシンには全く問題なし。タイヤにもとてもハッピーだ。まだまだ序盤なので、この午前のグループは慎重に走った」と語り、ファビオ・フリジエロは、「新しいspec
Cに大満足。速さが増しているし、まだ慣れないところが残っているけれど、フィーリングはとてもポジティブだ」とコメント。
しかし、風もなびく快晴の空の下、ステージは急速に乾き始め、午後のステージはコンディションが一変した。
ブレックファの再走ステージ・SS4は、PCWRC走行になると完全にドライになり、1回目の走行からタイムが更新された。テイスコネンは、1回目の走行を55秒以上も更新し、グループNベストをマーク。アルアティヤーをかわして、アルアティヤーに17.1秒差をつけてPCWRCトップを奪回、さらに10秒遅れでリガトが続いた。ここではメディギーニが猛追をかけてPCWRC
3番手のタイムをマーク。序盤のタイムロスを挽回し、エラーニをかわしてPCWRC 7位に浮上した。
ドライバー勢の懸念となっていたのは、タイヤ選択。ハードコンパウントのタイヤでは固く締まった地盤に磨きをかけることになり、ソフト過ぎればスピードが奪われる。午後のグループ最後のステージともなると、午前とのコンディションの違いが、大いにマシンパフォーマンスに影響することとなった。午前中はウェットが残りマディな部分ではタイヤがよく噛みついたところが、ドライになれば路面の上をダストが覆っているのだ。
アルアティヤーは「ウェット向けにセッティングしていたので、午後のステージは難しかった。ドライコンディションでの走行は、まったく別物!セットアップが全てだね」とコメント。
一方で、リガトは自身の巻き返しにも満足を見せた。「少しラフになっていて、コーナーには既に大きな穴ができている。ここで速度を上げすぎるとラインから外れてしまうし、非常に難しい。ステージは、轍が深くなり始めているよ」
SS5が終了した時点で、アルアティヤーに31.2秒の差をつけたテイスコネンは「ハードにプッシュしている。2回目の走行ではステージがかなりドライになっているので、うれしいよ。マッドはあまり好きじゃないから。ここは、本当にドライブのし甲斐があるラリーだし、まだ序盤とはいえ、リードに立ててうれしいよ。僕たちの戦略は、常にフルスピード。常にグループNベストを狙っていきたい」
レグ1最後のステージでもPCWRC首位を維持したテイスコネンのギャップはわずかに縮まり、アルアティヤーに27.5秒差をつけて初日を終了。さらに2.4秒遅れてリガトが続いた。このステージでPCWRC4番手タイムをマークしたメディギーニは、フリジエロをかわし、PCWRC
6位に浮上した。
ナッサー・サレ・アルアティヤー「午後になって、これほどまでステージが乾くとは予想していなかった。SS4のスタートから、タイヤがソフト過ぎたかもしれないと感じていた。このステージの終わりには、タイヤは半分になっていたからね。続く2本では、絶対にミスをしないよう、より慎重に走った。今のところは順位には満足。明日は、基本的にアキ(・テイスコネン)をかわすことを目指す」
ハメッド・アル・ワハイビ「日中のサービスで少しマシンの調整を行ったが、マシンにはまだ100%満足はしていない。少しアンダーステアが出ているのだが、それ以外はトラブルなし」
ファビオ・フリジエロ「上位とのギャップを詰めようと努力している。午後はパワーを駆使したが、もう少しスピードを上げたい」
ナタリー・バラット「ギアセレクトに小さなトラブルがあり、3速が抜けてしまうことがあった。夜のサービスで交換をするので、明日は調子が上がるはず」
PCWRC外では、昨年のPCWRCチャンピオン、ナイオール・マクシェアが初日に快走を見せ、テイスコネンにわずか2.8秒差のグループN・2位につけ、アルアティヤーの前に立っている。spec
Cでの初参戦となるラリー・GB初日に、シリーズ登録外ながら、文句なしの速さを見せつけた。
STI グループN プロジェクト・ジェネラルマネージャー、ジョージ・ドナルドソン
「アキが実力を発揮し、今シーズンの後半では活躍を見せている。SS6の4km手前ではパンクに見舞われたが、総合順位には影響しなかった。ナッサーはアキとのギャップを詰めようと追い上げている。彼が午後のステージに選んだタイヤは、かなりアグレッシブなカットを入れていたので、それが若干のペースダウンに影響したと思われる。SUBARU勢には1台もリタイアがなく、大きなメカニカルトラブルもない。まだこれで終わりではないが、残りの2日間に向けてもいい兆候だ。明日はいい天気を期待しているし、ドライバーもレグ2のステージでは、ペースを上げられるだろうと見ている」
レグ2のステージは、サービスパークを中心に別のエリアに設定されており、ウェールズの州都カーディフにあるミレニアム・スタジアムでの、WRC史上初屋内ステージとなるスーパーSSも控えている