| PCWRC第2戦「ラリー・メキシコ」のレグ1は、SUBARU勢にとってドラマにあふれ満ちたものとなった。埃の多さがドライバーを悩まし、さらに非常にラフでわだちの深い路面により、数名がレグ1を撤退。天候状況については申し分なく、明るい日差しの1日で気温は約30oCとなった。
今回がPCWRCデビュー戦となる新顔としてはポーランド人ドライバーのレシェック・クサイとロシアラリー選手権チャンピオンに幾度も輝いたセルゲイ・ウスペンスキーがいる。ウスペンスキーは先週末に自国の国内選手権第3戦を優勝した勢いを持ってのメキシコ入り。
レグ1最初の2つのステージはヤリ-マティ・ラトバラがラリーをリード。ラドバラは今回は抑え気味のエンジン・マッピングを使用し、気楽に構えているとのことであるが、それにもかかわらずライバル達を抑えているということは若手フィンランド人ドライバーの持ち前の速さが注目される。ラトバラを僅差で追うのは、PCWRCタイトル防衛のかかった新井敏弘。最初の2つのステージ約51kmを終え、その差わずか5.5秒。
実はSS2グアナファトの1km地点の辺りで新井はコース脇の岩にヒットし、リアサスペンションをかなり曲げるダメージを負っていた。その次のステージ前には応急処置を完了させたものの、サスペンション・ジオメトリーは大幅に狂ったままの走行であった。ハンドリングに手こずるものの、新井はなんとそこで最初のステージウィン。その後レグ1の残り、夜のスーパースペシャルまであらゆる試練に打ち勝ち、新井はこの日合計4つのステージウィンを獲得した。
ナッサー・サレ・アルアティヤーは、レグ前半で5位につけた。サスペンションのセッティングが柔らかすぎペースが上がらなかったが、ランチタイムのサービスの間に調整され、午後からはペースを上げて3位に浮上。セッティングがハードな方が向いていたことが証明された。
レシェック・クサイはレグ1で最初の試練に遭った。SS2の序盤で岩にヒットし、フロントサスペンションを大きく曲げてしまうアクシデント。クサイはどうにか6位をキープし走行を続け、ランチタイムのサービスで必要な修理を行うことができた。
クサイは午後の走行で、前とのギャップを詰めようとしていたが、不幸なことにSS4で転倒し、クルマの外観的にダメージをひどく大きく負うこととなった。クルマが引き起こされるまでのロスは1分ほど。競技を続行することができたが、SS5で2回パンクし順位を8位に落とす。その次のステージでは、右リアのショックアブソーバーが破損し、ドラマティックな展開の午後となったが、どうにか撤退せずに残った。たび重なる災難でクサイはこの日9位に終わった。夜を徹しての修理作業により、レグ2からは調子を取り戻すことを期待したい。SS6では3位につけており、ペース的には期待ができるドライバーである。
PCWRCニューカマーのロシアのセルゲイ・ウスペンスキーはSS2の序盤戦でパワーステアリングの不調に悩み、ドライビングが非常に困難になった。その結果、肉体的にも腕への負担がきつく、午前中の走行は総合的に新人にとってはタフなものとなった。ウスペンスキーは午前のステージで8位。SS5で7位に上がったが最終的には8位で終了し、彼にとっては無難に初日を終えたと見なければならないだろう。
アルアティヤーは、サスペンションのセッティングを事前テストで確認したハードなものに変えてから従来のペースを取り戻した。アルアティヤーは午後の走行にはかなり満足した反面、午前中のセットアップとタイヤチョイスについては自らの判断を責める結果ともなった。
ヤリ-マティ・ラトバラはSS5で間一髪の危機に直面した。ステージをほんの5、6km行ったあたりの中速域を走行中に、中央に巨大な岩のあるとても大きな穴を見つけたが避けきれず、ドライブシャフトを大きく損傷しフロントサスペンションを曲げてしまった。幸運にも走行を続けることができたラトバラは、SS6では駆動が2輪になったにもかかわらず満足行くタイムを出すことができた。そのトラブルでのロスはたったの1分。ラリー序盤でのほんの小さなロスとしてレグ2につなげられ、その差はもちろん残り2日間で十分埋められる程度となった。
STI グループN プロジェクトジェネラルマネージャー、ジョージ・ドナルドソン
「SUBARU勢にとって、あらゆる種類のドラマがあったラリー・メキシコ初日は興味深いスタートとなった。彼らは今日1日をよく持ちこたえたと思うし、明日は彼らがもっと活躍することを期待している。セルゲイ・ウスペンスキーが午前中、約2分半のタイムロスにつながったステアリングの問題を抱えたことは不運だった。それがなければ、クラス4位はとれていただろう。初参戦のドライバーにとってはなかなかの結果だ。彼としては少し気落ちしているようだが、まだポイント圏内であるので初日としては非常に希望をもてる結果を出せたと思う。今回は当初予測していた通り、タフで厳しい大会となりそうである。数々のドラマがあることを見越していたが、ご覧の通りPCWRC3位と4位の間には非常に大きなギャップがある。
パンクしたり、サスペンションを曲げたり、ターボブローを起こしたりするコンペティターが続出したが、これで終わるわけがない。トシは2位を1分35秒も離す素晴らしいリードを見せた。でも、パンクひとつあれば順位は簡単に入れ替わってしまうし、この状況では、まさにそういったことが無視できない要因だ。今シーズン三菱駆るマルコス・リガトはミス1つなく2位につけている。彼もその位置に甘んじていないであろうし、ナッサーの前に出ているためにハードな戦いを挑んでくる。トシは今日、信じられないほど素晴らしい仕事をしてくれた。リムを曲げ、テールを損傷した彼が、これから激しくプッシュするのを見ることができる。彼のペースは、残りの2日間について、ライバル達にプレッシャーを与えた。グループNトップの新井とWRカーのギャップはほとんどない。彼のパフォーマンスには嬉しい限りである。明日には今日以上の期待をしたいところだ。ナッサーはマルコスを捕らえるであろう。夜のスーパースペシャルではさらに6.6秒差を縮めたので、現在14秒差である。これは見ていてエキサイティングな戦いになるに違いない。ウスペンスキーとクサイも上位に上がってくることを期待しているし、また、ヤリ-マティ・ラトバラも忘れてはならない存在である」
明日も引き続き、今日並みに天候も気温も素晴らしく晴れ渡るかそれ以上が予報されている。レグ2では、クルーたちは夜のスーパースペシャルまでに6つのステージを含むSS合計151kmを戦う。
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