2006年FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)第4戦アクロポリス・ラリーのレグ1は、カー・キラー・ラリーの異名通りの展開となったが、SUABRU勢は2位、3位とポディウム圏内に2台と活躍し、その力強さを見せた。
木曜日夕方、アテネのオリンピック・スタジアムで競技が開始され、クルーは6万5千人余りもの熱狂的ラリーファンの前で、巨大なアリーナ内に特設されたスーパースペシャル・ステージに挑んだ。この2.79kmの8字形SSに挑むSUBARU勢の中で、ヤリマティ・ラトバラが最上位の2位。その次にはPCWRCディフェンディング・チャンピオン新井敏弘が4位。日本のエースに続いて、ナッサー・アルアティヤー、新人の鎌田卓麻、ロシアのセルゲイ・ウスペンスキー、ポーランドのレシェック・クサイ、そしてアキ・テイスコネンとなった。
そして、レグ1は最初の4ステージで、スーパースペシャルはバルダッチ、SS2はアルアティヤー、SS3ではポッゾ、そしてSS4ではテイスコネンがPCWRCステージウィンを獲得。ラリー序盤で全て異なる勝者が生まれることとなり、PCWRCの競争力レベルの均衡が示されることとなった。
その混戦となった序盤、SUBARU勢は、SS1ステージウイナーのアルアティヤーはポッゾに6.5秒の差をつけてステージウィンを飾る一方、新人の鎌田卓麻は猛烈なペース3番手タイムを出しPCWRC2位につける活躍を見せた。SS3ではアルアティヤーはトップを維持し快走。しかし鎌田のペースが落ち後方に前を譲ることになった。一方、テイスコネンはポジションを2つ上げ、6位から4位に浮上。ウスペンスキーも順位を上げ6位に。新井敏弘はギアレバーにトラブルを抱えながらも、このステージで9位から7位へとポジションアップをした。
ランチタイム・サービス前の最終ステージSS4で、フィンランドのテイスコネンが初のステージウィンを挙げ、PCWRC首位に躍り出た。テイスコネンに続いてアルアティヤーが2位、4位にラトバラ、6位には新井がつけた。ポーランドのレシェック・クサイはSS3でステアリングを破損しSS4でリタイヤ。明日スーパーラリー規定でのスタートは行わないこととなった。アルアティヤーは、午前中トラブルフリーで切り抜けたものの、午前中最後のSS4でジャンクションを通り越してしまうミスを犯していた。
午前中のステージで新井は、SS2の5km地点でギアシフトを破損したため、その後のSS2とSS3は半分のギアシフトで走行。SS4では全て3速ギアのみで走らなければならなかった。「ギアシフト以外は全くトラブルはないよ。クルマの方には一切悪影響がないことを確認しているので大丈夫だと思う。ステージはものすごい埃で、想像していた通りのラフさだよ」と新井はコメント。
SS4で一時PCWRCトップとなったテイスコネンは、「序盤のステージでは注意深く行っているけれど、とにかくサスペンションの動きが素晴らしく良いんだ。'06インプレッサは去年のより格段にバランスのとれたクルマに仕上がっていと感じている」とコメント。
ヤリマティ・ラトバラは、ステアリングホイールボスにステアリングレールを留めているボルト数個が緩んだことを除けば、トラブルフリーで午前中を切り抜けた。「クルマは素晴らしい。でもステアリングが緩んできて、SS2とSS3では不安だったよ。SS4の前に修理できてもう大丈夫だったから、今は好調だね。気分いいよ」と軽妙に語った。
セルゲイ・ウスペンスキーは、「クルマはいいよ。自分の競争力に満足している。同じSUBARUドライバーのように、ステージに敬意をもって臨んでいるんだ。今日の残りと次の2つのレグもこの状態を維持して、週末にかけてポジションアップしていきたいね。トラブルなしで走り続けることに相当努力しているよ」と語っていた。
鎌田卓麻は、午前中注目を浴びるタイムを出し、特にSS2ではPCWRC 2位という上位に浮上した。しかしそれからは、遅いクルマに追いつき12kmに渡ってものすごい埃の中をドライブペースで走行しなければならず、SS3で50秒以上を失うこととなった。次のステージで後塵を回避するため、鎌田はSS4でロードペナルティーを受けるが、結局そのSSでも同じクルマの埃をかぶり続けることとなってしまった。
鎌田は「ここで走ることができて、とっても嬉しい。クルマをどこかにヒットさせたりしていないし、このラリーがクルマにいかに厳しいかを知っているので、注意深く走ることに意識を集中させている。サスペンションも素晴らしい。それがここでは根本的に重要なことだ」と語った。
ナイジェル・ヒースは、昨晩のスーパースペシャルでクルマを破損するという災難のあったスタートに続き、SS4で埃と土とでエアフィルターを詰まらせる問題を発生。しかしながら、フィルターを掃除するためストップした後は、再びペースを取り戻した。
午前中、上位9位のクルマは、まさに五分五分。その日誰がトップにでるかについては全く判らない状態で午後のステージとなった。その午前中のリピートステージとなる午後にSUBARU勢には多くのドラマが待ち構えていた。
鎌田は3本をパンクさせ、SS6とSS7とのあいだのロードセクションでリタイヤ。PCWRCのデビュー大会初日で、序盤に素晴らしいパフォーマンスを見せたのに残念な結果となった。新井もまた、SS6でステアリングアームを破損してリタイヤ。ダメージを負ったのは非常に狭い低速のヘアピンカーブでのことで、新井もどうしてここが破損するのか当惑していた。しかし、明日はスーパーラリー規定の適用を受けて再スタートする。タフな状況ではあるが、彼がレグ2、レグ3とトラブルフリーであればポイント圏内に戻ってくることが期待できる。ラトバラはSS6でパンクし、タイヤ交換に3分を費やす。しかし残念ながらその後ウスペンスキーは、その日の最終ステージでトップマウントを破損し、明日はスーパーラリー規定に委ねることになる。
STIグループNプロジェクト・ジェネラルマネージャー、ジョージ・ドナルドソン
「信じられないような1日の戦いとなった。レグ1が終了してみて、ナッサーとアキがPCWRCの首位争いをし、ヤリマティも控えている。もちろん、鎌田卓麻、新井敏弘、セルゲイ・ウスペンスキーも明日スーパーラリーで再浮上してくるだろう。そして、ナイジェル・ヒースもまだまだ力を見せてくれると思う。
明日のコンディションは今日よりもタフなことが予想されている。非常に注意してペースをよく判断していかなくてはならない日となりそうだ。6週間前、多くのドライバーがアルゼンチンの過酷な経験から確実に学んでいるはず。レグ2では、今日の午後タイヤパンクで3分をロスしたラトバラがトップに食い込んでくることを期待したい。彼はそのチャンスを十分持っていると信じている。ナッサーとアキにはそれぞれのポジションを堅持してほしい。新井、鎌田、レシェックとセルゲイは皆、この過酷なアクロポリス・ラリーの餌食となってしまった。ここには道に見えない岩があるかのごとくだ。ステージにちりばめられた見極めの難しい罠が最終的につまずかせることになる。ナッサーとアキは明日に期待がかかる。鎌田、トシ、セルゲイもがんばってポイント圏内に戻ってきてほしい」
レグ2は今大会の中で最もラフなステージで、クルーにとって神経を張り詰める日となる。レグは3つのステージを2回走る構成となっていおり、ステージ総距離は計134.66kmと長い。天候は今日と同じように、暑く、乾燥し、30〜32oCぐらいの気温と予想されている。
|