Leg3 Report
新井敏弘の今季チャンピオンが確定
超難関コンディションの最終日、SUBARU勢の完走わずか4台

FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)最終戦となる第8戦「ウェールズ・ラリー・GB」(FIA世界ラリー選手権=WRC最終戦第16戦併催)は12月2日、競技最終日となるレグ3が行われた。レグ1,2同様、クルー陣は最後の4ステージでも、強風と横殴りの雨という過酷なコンディションの中での走行を強いられた。P-WRCにエントリーしていた9台のSUBARU勢のうち、完走を果たしたのは半数以下。ウェールズ・ラリー・GBがいかに厳しいイベントであるかを如実に表す結果となった。激しい変化を見せる空には時折明るい日差しが見られることもあったが、それもサービス中のほんの一瞬のことだった。
この日は、ウェールズ屈指の名ステージであるブレックファ、トラウスコードといずれも28km超の2本のステージで構成され、総ステージ走行距離は約114km。最初のループのコンディションは、ロングストレートでも視界が確保できず酷いという言葉が適するような状況となった。
日中サービスに帰還したインプレッサ勢は、5台のみ。レチェック・クザイはこのレグをスタートしておらず、イフゲニー・ヴェルツノフはSS14でコースオフして溝でスタック。スピロス・パブリデは、同ステージのスタートTCでリタイアを決めた。
SS15では三菱のアルミンド・アラウージョが後退したため、デビッド・ヒギンズとミルコ・バルダッチの両者がそれぞれ5位、6位にポジションアップ。カーブレーカーとなったこのイベントで、P-WRCポイント圏内でのフィニッシュを果たしたSUBARU勢は、この両名のみとなった。両クルーと、残りのSUBARU勢、パトリック・フロディン、ロリス・バルダッチ、トラヴィス・パストラーナは、いずれもブレックファ1回目の走行(SS14)の過酷なコンディションを伝え、フロディンは「とにかくクレイジーだったよ。ワイパーをフルで動かしていても何も見えなかった。道が見えないから、ペースダウンするしかなかったんだ」とコメント。

トラヴィス・パストラーナも同様のコメントを残し「ラリーに残っているだけでハッピーだよ!あまりにラフなので、正直、自分ができるほどのプッシュはしていない。雨で、行く先が何も見えないしね」
ブレックファ、トラウスコードの2回目の走行時にも再び猛烈な雨が降り始め、水浸しのステージでは視界はほぼゼロ。また、1回目の走行時に柔らかい地面を大量のマシンが走り抜けたことによってできた深い轍の中にマシンを留めなくてはならないことも、一層事態を難しくさせた。
この状況下、昨年はP-WRC勢5台がリタイアを喫した最後の56kmの間に順位変動が見られた。SS16でパトリック・フロディンが後退し、ロリス・バルダッチが10位に浮上。フロディンは、フィニッシュを目前にして3本のパンクに見舞われ、ラリーを終えることとなった。バルダッチは、フィニッシュまでポジションキープを果たした。
トラヴィス・パストラーナもSS16では14位から12位にポジションアップ。その後、最終ステージでも、さらに1つ順位を上げた。初参戦のラリー・GBを11位でフィニッシュしたパストラーナは、来季、全イベントでペースノートをリファインしての参戦に、さらなら活躍が期待される。
今季のP-WRCはこれで全イベントが終了。チーム陣はわずかなシーズンオフを迎える。2008年のP-WRCは、2月8日から行われるスウェディッシュ・ラリーから始まる。
STIグループNプロジェクト・ジェネラルマネージャー、ジョージ・ドナルドソン
「今季最もハードなイベントの一つとなった。SUBARU勢では、地元英国のトップドライバー、デビッド・ヒギンズがTaCKチームに最高の締めくくりを贈った。パトリック・フロディンは残念ながら、ラスト2本目のステージで3本のパンクに見舞われリタイアとなった。本当に辛いアクシデントで、今季の締めくくりがほろ苦いものとなった。とても速いドライバーで好リザルトも期待できるので、来季再び参戦してくることを願っている。
ミルコ・バルダッチは復調を果たし、SUBARU勢2位でフィニッシュ、ポイント獲得も果たした。その次のSUBARU勢には弟のロリスが入っており、彼も成長を見せてくれた。
この週末はトラヴィス・パストラーナに大いに注目が集まった。彼はいい走りをしたと思う。わずかにコースをスリップオフしてスーパーラリーに回ったが、今季最も難しいコンディションのイベントであること、全てがSUBARUラリーチームUSA独自のチーム体制であることを考えれば、大健闘だった。このチームにとってこの最もタフなイベントに参戦することは、とても勇気がいることだ。この1年を通して懸命な作業を行ってきたことは、尊敬に値する。
現行型SUBARUインプレッサWRX STI spec Cの最後のイベントでは、残念ながら期待していたリザルトを得ることはできなかったが、2週間前にはアイルランドでナイオール・マクシェアが素晴らしい勝利を飾っており、SUBARUインプレッサWRX STI spec Cの戦闘力を見せつけることができた。
今季のこのイベントには、三菱勢から地元のトップドライバーが多く参戦してきているので、ノミネートシステムの影響がリザルトに表れたと思う。
今季は、全8戦中、5戦でSUBARU勢が勝利を獲得しており、このパフォーマンスには非常に満足している。この選手権にマニュファクチャラーズカップが設定されていれば、SUBARUが勝利を飾っただろう!」
新井敏弘、2回目のP-WRCタイトルを獲得
このイベントでは、日本の新井敏弘の2回目のP-WRCタイトル獲得が確定した。このイベントと前戦のアイルランドにはノミネート外のため参戦していなかった新井だが、選手権全イベントが終了した時点でシリーズ2位以下とのポイント差を維持。この結果、9ポイント差をつけてのタイトル獲得が確定した。
2007年 FIAプロダクションカー世界ラリー選手権チャンピオン・新井敏弘:

「再びこのタイトルを獲得することができて、本当にうれしい。とても長い時間に感じられ、ようやく安心することができた。今季は2005年よりもタイトル候補となるドライバーが2倍に増え、格段にタフな1年となった。アイルランドとウェールズには参戦しない中で、マークは両イベントとも得意としているので、タイトルが獲得できるかどうかはかなり不安だった。彼がメキシコで勝った時からタイトル争いの相手になると思っていたが、安定感に欠けていたので助けられた。ガブリエル・ポッゾのことも候補とも見ていたし、彼は通常とても安定したドライバーだ。
今季は、シリーズに若手と非常に速いベテランが混在し、本当にコンペティティブな雰囲気があったので、タイトルを奪回することができて最高に満足している。
今季最もうれしかった瞬間を挙げるとすれば、ニュージーランド。ナイオール・マクシェアと本当に激しいバトルを繰り広げた。最高だったよ!あのイベントの全てのステージで、それこそ、100%、あるいはそれ以上でプッシュしていかなくてはならなかった。自分の中でも、最高の勝利の一つであり、あのようなハードバトルが続いた1年の末にタイトルを獲得できたことは、とにかく素晴らしいの一言に尽きる。新型マシンと来季シリーズを、心から楽しみにしている」
順位 |
No. |
ドライバー |
タイム |
| 1. | 59 | G. WILKS | 3:44:23.7 |
| 2. | 36 | J. HANNINEN | +34.2 |
| 3. | 34 | M. HIGGINS | +1:46.5 |
| 4. | 44 | A. BETTEGA | +5:23.6 |
| 5. | 53 | D. HIGGINS | +7:09.1 |
| 6. | 45 | M. BALDACCI | +8:49.1 |
| 7. | 46 | A. Araujo | +16:35.2 |
| 8. | 49 | S. VOJTECH | +18:07.7 |
2007PCWRC プロダクションカー世界ラリー選手権
- R.1 Swedish 2/09-11
- R.2 Mexico 3/09-11
- R.3 Argentina 5/04-06
- R.4 Greece 6/01-03
- R.5 New Zealand 8/31-9/02
- R.6 Japan 10/26-28
- R.7 Ireland 11/16-18
- R.8 GB 11/30-12/02
- Point Ranking
